アメリカの外食はなぜこんなに高い? 日本との物価差、円安・チップの衝撃

シティーフィールド球場NY エンタメと文化

先週までニューヨークとロサンゼルスを旅行してきました。久しぶりにアメリカを訪れてまず驚いたのが、飲食費の高さです。

レストランだけではありません。ちょっとした缶ジュースや軽食でも、円に換算すると「こんなにするのか」と思う場面が何度もありました。しかし帰国後、クレジットカードの利用明細を見て、さらに驚くことになりました。

現在の円安を考えれば何でも高く感じられるのは当然ですが、為替のせいだけではありません

アメリカ国内のインフレ、円安、チップ、そしてクレジットカードの海外事務手数料。このすべてが積み重なり、日本人旅行者にとっては、まるで寄ってたかってお金をむしり取られているような感覚になります。

アメリカでは本当に外食が高くなった

感覚だけではなく、アメリカの外食価格そのものが大きく上昇しています。

米労働統計局(BLS)の消費者物価指数を見ると、「Food away from home(外食)」の指数は2019年1月の280.38から2026年6月には395.63まで上昇しています。単純計算すると、約7年半で約41%の上昇です。しかも上昇はまだ終わっておらず、2026年6月も前年同月比3.4%上昇しています。(Bureau of Labor Statistics)

NYのパブで食べたハンバーガー、ビール3杯ずつ飲んで食事代は2人で25,000円!

つまり、2019年に20ドルだった外食が、物価上昇だけを単純に当てはめても28ドル程度になっている計算です。

アメリカではコロナ禍以降、食材費、人件費、エネルギー、店舗賃料などさまざまなコストが上昇し、それがメニュー価格に反映されてきました。2026年6月時点でも、フルサービスのレストラン価格は前年比3.7%上昇しています。

日本でもここ数年、外食価格はかなり上がりました。しかしアメリカを訪れると、日本で感じる値上げとは明らかに違うレベルに感じます。

アメリカのインフレを日本人は「円」で支払わなければならないからです。

円安で価格上昇がさらに増幅される

2019年、ドル円相場は概ね1ドル=110円前後でした。

ところが2026年8月現在、1ドル=160円近辺という歴史的な円安水準にあります。実際、8月14日の市場では1ドル=159円台で推移しており、その直前には164円近くまで円安が進み、政府による為替介入が行われるほどの状況になっています。(Reuters)

例えば2019年に20ドルだった食事を考えてみます。当時1ドル=110円なら2,200円です。それがアメリカの外食インフレで約40%上昇して28ドルになり、1ドル=160円で換算すると4,480円になります。

同じような食事が、円換算では約2倍になるのです。

ランチのロールサンドイッチとレモネード、3300円!

今回さらに驚いたのがクレジットカードでした。私が実際に使用したカードの明細を見ると、円への換算レートは1ドル=168円台になっていました。

市場の為替レートより高いのは、海外利用時の事務処理コストなどが加わるからです。私のカードでは、その「海外事務手数料」は3.44%でした!

海外旅行ではクレジットカードを使うのは当たり前ですが、現地ではドルで表示されているため、それほど意識せずカードをタッチします。しかし帰国して円建ての明細を見ると、その重さを改めて実感します。

対策として調べたところ、WISEのデビットカードは、日本円などの残高からリアルタイムのレート+両替手数料0.73%〜で自動両替されて決済とのことで、即効で申し込みをしました。

そして最後に待っている「チップ」

アメリカの外食をさらに高くしているのがチップです。

レストランで食事をすると、料理の価格に税金が加わり、最後にチップを支払います。最近はタブレット型の決済端末が普及し、会計時にチップの割合を選択する画面(10%・15%・20%などが表示され、選択を迫られます

サービスしてくれた本人が目の前いると、気の弱い私はつい高いチップを選択してしまいます💦

実際、米国のレストラン向けPOS大手Toastのデータでは、2026年第1四半期のフルサービスレストランにおける平均チップ率は19.3%とのことです。ファストフードなどのクイックサービスでも15.8%です。(Fast Company)

大好きなSweet Greenのサラダボウル、2,700円

メニューの価格がインフレで40%上昇すれば、その価格に対して20%を支払うチップの金額も自動的に40%増えます。つまりメニュー価格のインフレに連動して、チップも値上がりするんです。

もちろん、チップはサービス業で働く人たちにとって重要な収入源です。簡単に「なくせばよい」と言える問題ではありません

一方で消費者から見れば、メニュー価格、税金、チップを合わせた最終的な支払額があまりに大きくなれば、外食を控えようと考えるのは自然です。特に日本からの旅行者は、既に円安だけで精一杯なのですから。

アメリカが高すぎるのか、日本が安すぎるのか?

日本に帰ってきて買物をして思ったのは、「アメリカが高すぎる」のではなく、「日本が安すぎる」のではないか、ということです。

日本の賃金停滞は、アメリカと比較するとより鮮明になります。OECDによると、2025年の平均年間賃金は日本が約519万円なのに対し、アメリカは8万6,977ドルです。1ドル=160円で単純換算すると約1,392万円となり、日本の約2.7倍です。

2019年には日本が約468万円、アメリカが6万5,504ドルでした($1=109円だと約714万円)。この6年間で名目平均賃金は日本が約11%増だったのに対し、アメリカは約33%増加しています。さらに物価上昇を考慮した実質平均賃金では、日本は約3.6%低下した一方、アメリカは約8.3%上昇しました。

TacoBellの店内は超合理的なデザイン、タコサラダ的なもので1,700円

つまり、アメリカでは物価だけでなく賃金も大きく上昇したのです。一方、日本では賃金が伸びないうえに円安が進みました。その結果、日本人がアメリカで感じる価格差は、インフレ以上に大きくなっています。

以前も書きましたが、日本のパスポート取得率は先進国の中で最低の17.8%です(外務省)。アメリカは約50%、韓国は約40%です。

このままだと、益々日本人が海外に出る機会を奪われ、より内向きな思考に偏るのではと心配になります。インバウンドや外国人が増えたと言って、喜んでいる場合ではないと思います。

MLBの試合を観た球場で、ペットボトルのコカ・コーラ1本が1270円だったのは驚愕でしたが、異国文化を体験できて本当に良かったと思っています。

(余談)Sweet Greenというサラダ中心でグルテンフリー系のボウルを提供する、テイクアウトのチェーン店は超お勧めです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました