ロバート・F・ケネディJr.氏が掲げるMAHA(Make America Healthy Again)政策は、政治的イデオロギーを超えて全米の親たちの関心を集めています。中でも注目されているのが、「MAHA Moms」と呼ばれる母親たちの草の根運動です。
栄養、ワクチン、食品添加物、医療制度──これまで“専門家”に任せられてきた領域に、今、家庭の声が変化を求めて立ち上がろうとしています。
本稿では、MAHA Momsの実像と、それを巡る賛否の構図を探ってみたいと思います。
支持者は誰か?「MAHA Moms」の広がり
MAHA Momsの属性はひとつではありません。熱心な自然志向の親から、慢性疾患の子を持つ母親、医療費に苦しむ家庭まで、その広がりは予想以上に多様のようです。
SNS上では、TikTokやInstagramなどを中心に「#MAHA」のタグが22万件以上も投稿されており、マイクロインフルエンサーや健康インフルエンサーたちが積極的にメッセージを発信しています。
What a day for the Louisiana MAHA Moms!! Thank you RFK. 💚💚💚 pic.twitter.com/ZB8DGDcTxU
— MAHA Moms (@LAMahaMoms) June 27, 2025
支持者の多くは、「自分の子どもの健康は自分で守る」という強い意思を持ち、従来の医療や食品業界への不信感を共有しています。
中でも「クランチーマム(自然志向の育児を好む母親)」と呼ばれる層は、オーガニック食品やワクチンの選択に関心が高く、ケネディ長官の提唱するMAHA政策と親和性が高いとされます。
面白い点は、この自然志向は保守に限らず、ケネディ長官の考えに賛同するリベラル支持層にも跨っていることです。
「健康を守る」ための主張・賛成派の目的
MAHA Momsが掲げる目的はシンプルです。「子どもたちの健康を守りたい」。その主張にはいくつかの具体的なターゲットがあり、MAHAのポリシーと一致しています。
- 食品添加物(赤色3号など)の全面禁止
- 超加工食品(UPF)の摂取抑制
- フッ素や農薬など、日常生活で体内に入る化学物質の見直し
- ワクチンや医療介入における「選択の自由」
- 子どもたちの慢性疾患(肥満、糖尿病、アレルギーなど)の根本原因に向き合う政策改革
MAHA moms really do pic.twitter.com/QBIFydGzRp
— Gator Gar (@yalligatorgar) May 11, 2025
こうした要求は単なる「自然派の主張」ではなく、現代アメリカ社会における医療・食品・化学産業の在り方を問い直すものであり、保守層だけでなく中道・リベラルの一部からも共感を集めています。
反対派との対立・ワクチンと「科学的エビデンス」
MAHA Momsの主張に対し、最も強い反発を示しているのが、公衆衛生の専門家や医師、科学者たちです。
彼らは、「ケネディ長官は、科学的根拠に基づかない主張をしている」「ワクチンに対する不安を煽っている」などと非難します。とくに、ワクチン接種の自由化や水道水へのフッ素添加の停止に対しては、「公衆衛生への重大なリスクだ」として強い警戒感を示しています。
しかし、私個人としては、このような批判に対して懐疑的です。そもそも「科学的エビデンス」とは提供者側のベネフィットに偏っていることが多いからです。

過去数十年にわたり、医療や食品に関する研究はしばしば製薬会社や農業・食品産業からの資金提供を受けて行われてきました。その中には、都合の悪いデータを排除したり、過小評価するような「バイアスのかかったエビデンス」が少なからず存在します。
MAHA Momsの運動は、そうした“歪められた科学”への疑念でもあるのです。この問題は単にワクチンの是非ではなく、「科学の商業化の暴走を誰が止めるのか?」という問いでもあると私は考えています。
メディアと企業の反応・冷笑か警戒か
CNNやニューヨーク・タイムズなどのオールドメディアは、ケネディ長官とMAHA Momsの活動に対し、いわば「冷笑」と「警戒」の入り混じった論調で報じています。
「感情的な母親たちが陰謀論に取り込まれている」
「科学と無関係な主張が選挙運動に利用されている」

そんな見出しが並ぶ一方で、ワシントン・ポストなど一部メディアは、母親たちの現場感覚や経験にもっと耳を傾けるべきだという論調も見せています。マスランスキー社の記事にあるように、この運動は「大企業に支配された制度の目を覚まさせるシグナル」でもあるのです。
製薬業界や食品業界にとって、MAHA Momsの運動は明らかに無視できない脅威です。実際、多くの企業が対応に乗り出しており、業界団体は「誤情報への対応強化」や「ポジティブなブランドメッセージの再設計」に取り組んでいるとのことです。
根底には「これ以上地球を壊さない」という考え方
ケネディ長官とMAHA Momsを巡る議論は、単なる選挙運動や健康論争ではなく、親たちが自らの感覚と経験に基づいて、「何を信じるか」「何を子どもに与えるか」の決定権を取り戻すムーブメントです。
科学技術は私たちの生活に多大な貢献・便利さをもたらしましたが、副作用も沢山あります。加工食品、除草剤、スマホ、インターネット、車など、様々な産業分野で開発競争が行われています。
例えば、地球温暖化を抑制したいとします。その原因はひとつではなく、様々な要因が複合的に絡まっています。牛のゲップがCO2を発生させるから、牛肉の飼育を減らすべきとの調査結果がありますが、根本的な解決に繋がるとは思えません(例えば、土壌への化学薬品の使用量を減らす方が先)。
地球や自然の開発が進むほど、本当の要因は見え辛くなります。だから、昔の方法や自然材料に戻すという考えは理にかなっていると思います(天然の塩と工場で製造するナトリウムは同じだ、という人には理解できないと思いますが😓)。
以前は「保守派」という意味はいまいちピンときませんでしたが、今はなぜ保守的な考えが注目されるか理解できるようになりました。MAHA Momsの流れが、日本にも到来することを期待します。
最後までお読みいただきありがとうございました。