今、世界で最も注目される女性慈善家の一人が、マッケンジー・スコット氏です。
彼女はジェフ・ベゾス氏との離婚を機に、制限なしで世界中の団体に数兆円もの寄付を行い、従来のフィランソロピストとは一線を画す活動をしているようです。
この記事では彼女の人物像、作家としての一面、慈善活動のスタイルについて探ってみたいと思います。
プリンストン大学で文学を専攻、作家デビュー
マッケンジー・スコット氏は1970年、サンフランシスコ生まれ。名門プリンストン大学で英文学の学士号を取得し、在学中はノーベル文学賞作家トニ・モリスン教授の下で学びました。モリスン氏は「彼女は最も優れた学生の一人」と絶賛しています。
作家としては、2005年に小説『The Testing of Luther Albright』で全米図書賞デビュー賞を受賞し、2013年には『Traps』を発表。批評家からも高い評価を受けています。

離婚のきっかけと決断、富豪になる
1993年に結婚したベゾス夫妻は2019年に離婚を発表。共同声明では「長期にわたる熟慮と話し合いの末」とし、友人や家族として関係を続ける意思も示されました。
ワシントン州の共同財産制度に基づき、彼女はAmazon株の25%(当時約356億ドル=約5.2兆円)を取得し、世界有数の資産家となりました。
— Jeff Bezos (@JeffBezos) January 9, 2019
離婚発表の直前、ナショナル・エンクワイアラー紙がジェフ・ベゾス氏と元TV司会者ローレン・サンチェス氏との不倫関係を報道し、大きな話題となりました。さらにVoxなどの報道では、価値観の違いや夫婦間の信頼の揺らぎもあったと指摘されています。
彼女自身は、離婚について「感情的な反発ではなく、冷静な話し合いでの決断」だったと語っており、その後の発言からもお互いを尊重した関係が続いていることがわかります。
ベゾス氏とローレンは今年7月にベネチアで70億円のド派手結婚式を行い、地元からブーイングを浴びていましたね。
離婚後も続くベゾス氏とのパートナーシップ
そもそも、マッケンジーは1990年代初頭、ニューヨークのヘッジファンドで働いていた時に、ジェフ・ベゾス氏と出会いました。1994年、夫妻でシアトルに移住し、Amazonの立ち上げを共同で始めたのは有名な話です。
彼女は初期の財務や法務文書の作成、ロジスティクスにも深く関わっていました。つまり、単なる「創業者の妻」ではなく、Amazon共同創業の実質的な貢献者でもあります。
— MacKenzie Scott (@mackenziescott) April 4, 2019
離婚後も「家族であり続ける」との合意のもと、資産分配や株の議決権についても円満に取り決められたとされます。このような成熟した離婚スタイルは、「意識的な別れ/conscious uncoupling」とも呼ばれ、近年注目されている生き方の一つです。
活動開始から数年で約2.8兆円の寄付:ユニークな思想とスタイル
2020年以降、マッケンジー・スコット氏は累計で190~193億ドル(約2.8兆円)を2450団体以上に寄付しています。中心にあるのが「Yield Giving(イールド・ギビング)」という寄付プラットフォームです。
最大の特徴は、寄付金の使途に条件を付けない「無制限寄付」です。これにより、受け取った団体が現場の実情に応じて資金を自由に活用できるようになっています。

支援対象は、教育(特に黒人大学など)、住宅支援、LGBTQ+支援、医療や気候変動分野など多岐にわたります。2023年には、米国の教育支援団体が1000万ドルを受け取り、スタッフや支援対象者の規模を大幅に拡大した事例もあります。
他の富豪との違い:スピード・透明性・無制限
マッケンジーの寄付スタイルは、他の著名な富豪とは一線を画しているとして有名です。
- スピード:離婚からわずか数年で2000団体以上を支援
- 透明性:寄付先を公式サイトで公開
- 制限なし:受け取り団体の判断を尊重する自由度の高い寄付
これは、ビル・ゲイツ氏やマーク・ザッカーバーグ氏が設立した財団型の寄付と比べ、柔軟性と迅速性に優れています。Center for Effective Philanthropyの調査でも、93%の非営利団体が「財務的安定性が増した」と評価しています。
謙虚さと博愛精神の人
彼女はベゾス氏との離婚後、2021年に化学教師のダン・ジュエット氏と再婚しましたが、2022年に再度離婚を申請・成立しました(People)。
ベゾス氏との4人の子どもの共同育児は続いているそうです 。子育て中も執筆活動や慈善活動に積極的で、生活の中心はいまだ家庭や執筆・寄付に据えられているとのことです。
マッケンジーの素晴らしいところは、謙虚で自分の成功に対する感謝の心を持ち続けていることです。SNSやメディアでの発信は殆どなく(Xは2021年が最後)、無名の頃の自分を見失っていないことが良くわかります。
元旦那の軽薄で派手な振舞いを見ると、二人は元々違う価値観を持っていたんだということが良くわかります。
最後までお読みいただきありがとうございました。