砂糖類は、スイーツやお菓子など世界中で愛されている調味料・エネルギー源のひとつです。
世界の砂糖の消費量は増加を続け、2025年の推定は1億7,733万トンだそうです。2011年と比較し、15%の増加ということです。
農業技術や科学技術の向上により、安く大量に生産・流通できるようになったことが背景にあります。
砂糖の消費量には国ごとに大きな差があり、その背景には文化・食習慣・経済状況などが密接に関わっています。
どんな状況なのか探ってみたいと思います。
世界の砂糖消費量トップ10(1日あたり・2025年推定)
以下は、WorldAtlasが発表した「1人1日あたりの砂糖消費量(g)」に基づくトップ10の国々です。
順位 | 国名 | 1人あたり消費量(g/日) |
---|---|---|
1位 | アメリカ | 126.4g |
2位 | ドイツ | 102.9g |
3位 | オランダ | 102.5g |
4位 | アイルランド | 96.7g |
5位 | オーストラリア | 95.6g |
6位 | ベルギー | 95.0g |
7位 | イギリス | 93.2g |
8位 | メキシコ | 92.5g |
9位 | フィンランド | 91.5g |
10位 | カナダ | 89.1g |
出典:WorldAtlas “10 Countries with the Highest Sugar Consumption”
欧米諸国を中心に高い数値が並んでおり、加工食品・炭酸飲料・スイーツの消費が多い文化が背景にあると見られます。

白人は砂糖摂取量が多いことがわかります。同じヨーロッパでもイタリアやフランス、スペインなどの農業国の消費が少ないのは興味深いですね。
コーラの500㎖で40~65g(角砂糖10~16個分)なので、これを1日に2~3本飲むアメリカ人にとって126.4gなんてあっという間に超えそうですが。
日本が砂糖消費ランキングに入らない理由
日本人の1日あたりの砂糖消費量は、約48〜55g程度と推定されており、上位10か国と比べると半分以下にとどまります。
以下のような背景が考えられますが、日本人は欧米人に比べ中毒に対する抑制機能が優れているのでしょう。
- 和食中心の食文化
素材の味を重視し、砂糖を控えめに使用する料理が多い - 飲料の嗜好
緑茶や無糖飲料を好む傾向が強く、炭酸や甘味飲料の摂取が少ない - 甘さ控えめの嗜好性
日本のスイーツはもともと甘さ控えめ - 健康意識の高まり
高齢化に伴い糖尿病対策・糖質制限志向が広がっている

日本はスイーツ大国なので砂糖の消費量は相当多いと思っていましたが、使用量がもともと低いということですね。
甘味料の種類と消費トレンド(2015〜2025年)
砂糖類は3種のタイプに分類され、同調査でもこの基準を用いています。
- 自然糖:蜂蜜、糖蜜、ナツメヤシ、糖アルコール、果糖、等
- 精製糖:白砂糖(グラニュー糖)やブドウ糖果糖液糖など工業的に生成された糖
- 人工甘味料:アスパルテーム、スクラロースなど低カロリーまたはゼロカロリーの代替甘味料
以下は、2015〜2025年における各タイプの市場規模とシェア推移です。
(単位:億ドル/カッコ内:比率)
年度 | 自然糖 | 精製糖 | 人工甘味料 |
---|---|---|---|
2015 | 180 (12%) | 1,200 (80%) | 70 (8%) |
2020 | 220 (14%) | 1,250 (78%) | 90 (8%) |
2025 | 272.2 (16%) | 1,300 (76%) | 147.1 (8%) |
出典:Fortune Business Insights / GlobeNewswire(2024〜2025)
自然糖類のシェアが上昇し、精製糖が下がってきています。しかし、自然糖に含まれる「糖アルコール」は要注意です。これは自然界にある甘味成分を人工的に製造した人工甘味料の一種であり、キシリトールやソルビトールがそれに当たります。
人工甘味料の割合は8%と増えていませんが、金額でみると10年前の倍に増えています。
将来的にも自然糖類は入手可能なのか?
欧州やアメリカでも、食品衛生の規制が日本より厳しい国や州は沢山あります。化学調味料や人工甘味料の使用に関しては、日本は後進国というか、食品大手を擁護するために、国がそれらの存在を意図的に隠す傾向にあると思います。

人工甘味料の使用が広がる一方で、自然の糖分が無くなることはないのか心配になります。
自然糖類のメリットは以下ですが、この良さを理解する人々の努力に支えられています。
- ビタミンやミネラルなど、付随する栄養価が高い
- 血糖値の上昇が緩やか(血糖値スパイクが少ない)
- 身体に優しく、純粋に美味しい

安価に製造できる人工甘味料のシェア増加を懸念しますが、自然由来の糖類が今後も生産量を増やすことを祈ります。それを支えている生産者や健全な消費者には本当に感謝します。
WHOの最新ガイドラインと健康リスク
2023年、世界保健機関(WHO)は人口甘味料(Non-Sugar Sweeteners-NSS)に関するガイドラインを発表しました。
体重のコントロールや非感染性疾患のリスク低減のために、NSSを使用しないことを推奨するとしています。
- NSSの使用は、成人および小児の体脂肪を減らす上で長期的な利益をもたらさない
- 成人の 2 型糖尿病、心血管疾患、死亡率の増加など、長期使用による望ましくないリスク要因
資料:日本WHO協会

人工甘味料のアスパルテーム、アセスルファムK、スクラロースなどはお菓子や飲料に使用されますが、甘味が砂糖の200~600倍というコスパの高さが業界やメーカーにとって最大の魅力です。
この勧告はアメリカを始め、世界的に糖尿病やその他の疾患を患う人が増加していることが背景にあります。
まとめ:砂糖との付き合い方を見直すきっかけに
砂糖はエネルギー源としても、料理を豊かにする調味料としても重要な存在です。しかし、種類によって健康リスクが大きく異なるため、選び方と摂り方の工夫がカギになります。
- 加工食品や清涼飲料に含まれる隠れた甘味(人工甘味料)に注意
- ラベルを確認して精製糖(グラニュー糖)を減らす
- 果物や自然由来の甘味を活用

野菜の煮物や煮魚など日本料理は多くの砂糖を使用しますが、ここに人工甘味料が入ると思うと複雑な気持ちになります。
食への拘りはお金のかかることですが、政府や業界団体には国民が安心して生活できる基盤の見直しと整備に期待したいと思います。
そもそも無駄に糖類を摂らないという意識も大切だと思います。私はお腹が空いたら、ナッツかさつま芋を食べるようにしています。
最後までお読みいただきありがとうございました。