かつて社会の第四の権力とも呼ばれたオールドメディア(新聞・テレビ・新聞・雑誌)は、いま大きな転換期を迎えています。SNSや動画配信サービスの台頭により、報道への信頼度は下がり続け、特にアメリカでは深刻な不信感が広がっています。
本記事では、トランプ前大統領によるメディア批判の背景と、世界のメディアに対する信頼度データを踏まえ、オールドメディアが再生するためのヒントを探ります。
オールドメディアの信頼度:国による差と傾向
2024年のロイター・デジタルニュースレポートによれば、「ニュースを信頼する*」と答えた割合は世界平均で40%でした。(*媒体を問わずニュース全体)

国別のハイライトは以下です。
- フィンランド:69%(トップ)
- 日本:43%(17位)
- アメリカ:32%(36位)
- 韓国:31%(39位)
- ギリシャ、ハンガリー:23%(最下位)
北欧諸国では公共メディアが信頼されている一方、アメリカや韓国では政治的分断やメディア不信が重なり、信頼度が非常に低い状況です。
日本の信頼度が思いの外高いことに驚きますが、世代交代により低下していくことでしょう。
トランプ前大統領はなぜオールドメディアを敵視するのか?
トランプ大統領は「主流メディア=フェイクニュース」と繰り返し非難し、CNNやニューヨーク・タイムズに対して強い敵意を示してきました。背景には次の要因が挙げられます。
- リベラルメディアとの対立構造:批判的な報道を受けてメディア全体を「国民の敵」と断定
- SNSによる直接発信:X(旧Twitter)を活用し、メディアを介さずに支持者に訴えるスタイルを確立
- ポピュリズム戦略:メディアに攻撃される姿を通じて、「庶民の味方」を印象づける

トランプ氏は2016年の選挙戦から、以下のようにオールドメディアを「腐敗した支配層(エリート)」と同一視する言動を繰り返してきました。
この戦略は、既存メディアに対する不満を持っていた層に強く響き、成功しました。
ヨーロッパにおけるオールドメディアの信頼と課題
ヨーロッパではBBC(イギリス)、ARDやZDF(ドイツ)といった公共放送が引き続き高い信頼を得ています。特に北欧諸国では、メディア教育の充実や中立的な報道姿勢が支持されています。

しかし、次のような課題も存在します。
- 若年層の「テレビ離れ」「紙媒体離れ」
- SNSのスピードに劣る物足りなさ
- ハンガリーやギリシャのように、政府の影響が強い国では報道自由度が低下
日本のジャニーズ問題に光を当てたのはBBCでしたね。日本のマスメディアよりも公平な報道をしている証でしょうか。
ロイター通信など通信社への信頼は?
ロイター=西側諸国の視点なので、この調査結果を額面通り受け取ってよいのか迷います。
この調査の主体であるロイター通信は、事実重視の国際報道とAIによるファクトチェック体制を整備し、国際的な信頼維持に努めているとの説明をしています。
- 本調査は、オックスフォード大学のロイター・ジャーナリズム研究所(Reuters Institute for the Study of Journalism)がYouGovやKantarなどの第三者の調査会社を通じて実施
- 毎年40カ国以上・計9万人以上が参加
- 回答者の年代、性別、地域、教育水準などが統計的に調整されている(代表性の確保)
- 回答者の主観的な認識を収集(誘導的質問の排除)
しかしニュース信頼度の世界平均が40%というのはかなり低い数字であり、しかもこの傾向は昔から変わっていません。世界の60%の人はニュースを信頼しないで、日々生活しているということです。
オールドメディアが生き残るための3つの再生戦略
市民からの信頼と支持を取り戻すために、オールドメディアには以下のような対応・修正が求められます。
- 信頼性の再構築:特定の権力に左右されない、透明性が高く公平な情報提供
- デジタルへの対応:ポッドキャスト、SNS、YouTubeへの展開
- 若年層との接点構築:SNSやデジタルメディアを使ったニュース発信

成功例としては、ニューヨーク・タイムズのポッドキャスト「The Daily」や、BBCのTikTok活用などが挙げられますが、重要なのは伝達手法ではなくニュースの中身です。
まとめ:オールドメディアは「信頼×柔軟性」で再生できるか?
今後オールドメディアが再び「信頼される報道機関」として機能するためには、透明性と時代に合った発信方法、そして市民との対話姿勢が不可欠です。

政治や民主主義への不信とオールドメディア不信とは偶然ではなく、必然の結果と言えます。SNSやオンラインメディアが信頼される理由は、一般人も自由に発言や情報発信ができるからです。
トランプ大統領と既存メディアの闘いがどのような終着点にたどり着くのかはまったく読めませんが、他の国も少なからずその影響を受けることになるでしょう。
日本メのディアの透明性は極めて低く、ジャニーズ問題や先般の元SMAPの中居氏の事件を隠蔽したフジテレビの問題、その他報道されない政治がらみのニュースが沢山あります。
オールドメディアへの反発はポピュリズムとして警戒されていますが、世界の市民はこれまでの常識や制度、社会システムからの脱却を真剣に求めている証です。
良い方向に進化することを祈りつつ、今後も世の中の流れを掴んでいきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。