EUがXに210億円の罰金⁉“トランプ時代からの対立”が生んだ衝突の本質

EUオフィスの前で微笑むトランプ大統領 政治・ビジネス

X(旧Twitter)がEUから約1.4億ドル(約210億円)の罰金を科されたことが大きな話題になりました。欧州委員会(European Commission)は、XがEUのデジタルサービス法(DSA)に違反したと判断し、

  • 有料化された青い認証バッジ(Blue Checkmark)がユーザーを誤認させる可能性
  • 広告の透明性が不足している(広告主が不明、ターゲティング理由など)
  • 研究者や監視機関へのデータ提供を妨げた点
    を主要な理由として挙げています(情報源:European Commission Press Release, Reuters, The Guardian)。

しかし今回の問題は、Xがルール違反をしたという次元の話ではありません。背景には、EUという巨大な政治組織が抱える正当性の問題や、アメリカ国内で続く右派と左派の文化戦争が深く関係していると考えます。

今回の罰金の背景にある国際政治・社会の動きを探ってみたいと思います。

EUはなぜ“強権的なSNS規制”を求めるのか・移民政策との矛盾

欧州委員会がSNS規制を強化する理由を理解するには、デジタルサービス法(DSA)の背景を知る必要があります。DSAは、SNSが社会や市民に与える影響が拡大する中で、誤情報・ヘイトスピーチ・違法広告などを抑制するために導入された法律です。

しかしこの説明には矛盾があります。EUは移民政策では国境管理を緩め、各国都市では治安悪化や社会不安が広がり、「市民の安全は守られていない」という批判が高まっているためです。

その一方で、SNSの規制では強い姿勢を見せる——このギャップは、EUが実際に市民を守るというよりも、わかりやすいテーマで統治能力を示そうとしていると捉える方が現実に近いかもしれません。

移民問題や治安悪化のような複雑で反発の大きいテーマには踏み込めない。しかしSNS規制なら反対しづらく、政治的にアピールしやすい。今回のXへの罰金もこうした背景の中で、EUが自らの正当性をアピールするパフォーマンスと考えて間違いないでしょう。

欧州市民の意見は割れている:“EU vs 国民”の新しい断層

興味深いのは、欧州市民の間では今回の制裁を巡って意見が割れていることです。

一部の層は、「Xは誤情報を放置しているのだから、EUの監督は必要だ」と支持しています。

一方で、右派や自由主義層、若いネット世代からは、「EUの規制は行き過ぎ」「官僚による言論統制だ」
という反発
が上がっています。(出典:YouGov Europe Polls, Euronews コメント)

つまり、X対EUの対立はそのまま官僚的な超国家機構 vs 一部の国民(特に反エリート層)という価値観の対立にも見えるのです。

SNSはもはや情報交換の場ではなく、政治的主張が対立する空間になっています。

アメリカ左派の“矛盾”:表現の自由を掲げてきたはずが、なぜ規制を支持するのか

今回のEUの判断に対するアメリカの反応は左右で大きく割れていますが、特に興味深いのは左派(リベラル)の態度です。本来、アメリカの左派は国家による検閲に反対し、“表現の自由”を最も重視する勢力でした。しかし近年は、SNS規制や言論管理を積極的に支持するようになっています。

背景には、左派が掲げる「弱者保護」や「社会の安全」の概念が大きく変質したことがあります。

左派は「有害情報や差別的投稿から弱者を守る」という名目で規制強化を支持しますが、現実にはバイデン政権の移民政策によって大量の移民が流入し、治安悪化や財政圧迫が生じ、市民の安全はむしろ損なわれています。

この点で、
“安全を守るために規制が必要だ”と主張しながら、
“市民の安全を脅かす政策を続けている”

という矛盾が生まれています。

さらに左派の一部は、Xを保守派寄りのメディアとみなし(マスク氏の発言も影響)、「右派の影響力を抑えるために規制を支持する」という政治的な意図があります。そのため、本来掲げてきた理念と現在の行動が一致しない言動が増えているのです。

日本でも進むXへの制限──“言論の自由”は守られているのか?

日本でも、SNS規制や言論統制の可能性が静かに進行しています。

2025年の参院選の最中、X上で複数の保守系アカウントや、地方議員・政治活動家などの投稿が凍結・非表示化された事例が報告されました。特に話題になったのは、保守的なニュースまとめアカウント「JAPAN NEWS NAVI」に関連する複数のアカウントが一斉凍結された事例です(Coki.jp, 2025年7月)。

また、法制度の面でも動きがあります。2025年5月には、主要SNS事業者に対して「誹謗中傷コンテンツの削除の迅速化」「透明性の確保」を求める法律改正が行われました(Business & Human Rights Resource Centre)。さらに同年秋には、SNS監督強化を議論する国会小委員会の設置も検討されています。

こうした制度的整備は、誹謗中傷などの問題対策としては理解できるものの、政治的に偏った言論の取り締まりや、“見えない検閲”の温床になる可能性も否定できません。

実際、SNS上では「特定の政治勢力にとって不都合な言論が削除されているのでは」という懸念の声も根強くあります。たとえば、XがTwitterとして日本に参入した初期段階で、広告・運営の一部を大手広告会社・電通が担っていたという経緯や、自民党との政治的な距離感の指摘も存在します(※事実関係は公表されていませんが、長年の「情報コントロール構造」への懸念は強い)。

更に問題なのは、「アカウントの凍結や投稿の非表示(シャドウバン)」が運営の裁量や不透明な通報システムによって行われている点です。削除された理由や基準が公開されず、ユーザーは抗議や説明を求める手段を持ちません。

日本では、表現の自由が憲法で保障されているにもかかわらず、プラットフォーム規制と通報システムのブラックボックス化によって、見えない統制が進行しています。

日本におけるX(旧Twitter)規制・凍結の主な事例一覧

時期内容関連リンク
2025年7月保守系まとめアカウント「JAPAN NEWS NAVI」関連アカウントが一斉凍結Coki.jp記事
2025年5月SNS事業者に対し「削除迅速化・透明性確保」を義務づける法律が施行Business Human Rights
2025年11月国会でSNS規制の小委員会を設置する提言・議論が行われる時事通信
不定期地方議員・活動家の投稿が凍結・アカウント停止Coki
不明シャドウバン(投稿の非表示・露出減)への懸念が拡大WDCroコラム

SNSは今や情報のインフラであると同時に、生活に欠かせないコミュニケーションツールとなりました。テレビや新聞がなくても生活に困りませんが、SNSなしでは生活できない人が殆どでしょう。

EUや米国での激しい価値観の衝突は、日本にもじわじわと影響を及ぼしています。政府の言う規制の強化は、実際には「政治的バイアス」「見えない検閲」や「国民の声の抹殺」を目的としています。

過去にTwitterアカウントを凍結されたトランプ大統領は、発言の自由の場を確保すべく、自身でTruth SocialというSNSプラットフォームを運営しています。2025年の初頭の月間利用者数は約630万人で、現在はかなり限られたユーザー(右派)からの支持に落ち着いているようです。しかし、その意義は大きいと思います。

ZOZO創業者の前澤勇作さんも、SNSの立ち上げに興味を示しているひとりです。本人確認により、詐欺、虚偽の広告、誹謗中傷、デマ、差別を許さない、健全な国産コミュニケーション基盤の必要性を訴えています。この話が出たのは参院選と重なり、彼も言論統制への不信感を抱いているんだな、と感じたと共に希望を抱きました。

言論規制は、政府の焦りの表面化とも言えます。メディアを使い、笛を吹けば国民が踊る時代は終わりました。情報コントロール装置を失い、守勢一辺倒の組織に未来はないと思います。我々が求めているのは透明性です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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