代替肉は本当に健康的か? 添加物の実態と消費者の反応

代替肉のパッケージ・フェイクミート 食事と健康

代替肉市場は世界的に急速に拡大しています。米国の市場規模は2024年に約3.21億ドル(約4,600億円)であり、2030年には世界市場は約24.8億ドル(約3.5兆円)に拡大すると予測されています。

この市場の成長を牽引しているのは、環境問題への対応と健康志向の高まりです。植物由来の製品は、動物由来の肉に比べて温室効果ガスの排出が少なく、動物福祉にも配慮されているとされ、多くの消費者がこの選択肢を選んでいます。

Source: Grand View Research

ただし、代替肉製品には健康への懸念もあります。例えば、Beyond MeatImpossible Foodsなどの企業が提供する製品は、味や食感を肉に近づけるために、多くの加工が施されています。

健康的な選択肢というコンセプトとは裏腹に、実際には多くの添加物が含まれていることがわかっています。詳しく探ってみたいと思います。

代替肉メーカーが訴える「健康的」なポイントと動物肉との比較

代替肉メーカーが広告やウェブサイトで「健康的」と訴えるポイントは、主に以下の点に焦点を当てています。これらのポイントは、動物肉と比較して強調されることが多いです。

1 低脂肪・低コレステロール

代替肉は「低脂肪」「低コレステロール」であることを強調しています。動物性の肉には飽和脂肪やコレステロールが多く含まれているため、これを避けることが健康に良いとされます。

  • 動物肉と比較
    • 動物肉(特に赤身肉や加工肉)は飽和脂肪やコレステロールが高く、心臓病のリスクを増加させる可能性
    • 代替肉はこれらの要素を避け、健康的な食生活を支援するというアプローチ

代替肉は必ずしも低脂肪ではなく、製品によってはナトリウムや飽和脂肪が多い場合がある。また、加工度が高い食品が多く、加工肉の代替として使う際に健康的な効果が出にくい場合もある。

2 植物由来のタンパク質

代替肉は「植物由来のタンパク質」を使用している点を強調します。植物性のタンパク質は、動物性のものに比べて体に優しく、健康に良いとされています。

  • 動物肉と比較
    • 動物性タンパク質(肉、卵、乳製品など)は、筋肉の発達に必要な必須アミノ酸を豊富に含んでいますが、代わりに飽和脂肪も多く含まれます。
    • 代替肉は、必須アミノ酸を摂取できる植物性のタンパク質を使用し、動物由来のリスクを避けることができます。

⭐植物性タンパク質は動物性よりも吸収率が低い場合があり、必須アミノ酸のバランスに注意が必要。特に、代替肉に使用される植物性タンパク質が完全なアミノ酸効果を提供するかどうかは確認が必要。

3 環境への配慮(地球にも優しい)

代替肉は「環境に優しい」「持続可能な食材」としての側面も強調しています。動物性肉の生産は大量の水や土地、エネルギーを消費し、温室効果ガスを大量に排出するとされており、代替肉はその点で環境への影響が少ないと訴えています。

  • 動物肉と比較
    • 動物肉の生産は大量の飼料、土地、水、エネルギーを必要とし、温室効果ガスを多く排出
    • 代替肉はこれに比べてリソースの使用が少なく、CO2排出量も削減できるため、「健康的で地球にも優しい」としている

環境面での優位性は認められますが、加工過程でのエネルギー消費や使用される原料の栄養価、添加物の影響については十分に検討されていない場合もある。

健康への影響と消費者の認識

代替肉製品に含まれる高いナトリウムや飽和脂肪酸は、過剰摂取すると高血圧や心疾患のリスクを高める可能性があります。

実際、アメリカ心臓協会(AHA)は、加工肉の摂取が心臓病のリスクを増加させることを警告しており、代替肉がこれと同じような健康リスクを伴う可能性があることを指摘しています。

消費者の中には「植物由来だから健康に良い」と考える人も多いですが、実際には加工度の高い製品が多く、これが健康に与える影響については慎重な評価が必要です。

例えば、Impossible Burgerは「低脂肪、高タンパク」といった健康的なキャッチフレーズで販売されていますが、実際にはそのナトリウム含有量や脂質の量が高いことがわかっています。

アメリカ以外の国々の状況と市場の反応

アメリカ以外の国々でも、代替肉や培養肉の導入が進んでいます。ヨーロッパでは、持続可能な食文化の一環として代替肉の消費が増加しています。

しかし、消費者の中には、これらの製品が「人工的」「不自然」と感じる人もおり、受け入れには時間がかかるとされています。

※Beyond Meatの株価は5年前の約200ドルから下がり続け、3ドル割れが続いている(8月8日現在)。

日本では生鮮肉の質が高いので、わざわざ代替肉に乗り換える理由がないように感じます。また、代替肉は選択肢が少なく(通販メイン?)、割高な印象があります。

消費者はその安全性や味について懐疑的な意見を持つことが多く、一時コオロギの加工食品が出た時は炎上していましたね。

環境への配慮や健康志向という社会や消費者ニーズよりも、ビジネス側が完全に先走っていると感じます。

製品価値や必然性が理解されていない

アメリカのネットで調べると、代替肉のことをフェイクミート(ニセ肉)と呼んでいるのを複数見ました。フェイクはネガティブな印象が強く、これでは好意的な印象は広がらないと思いました。

代替肉や培養肉の健康への影響を正しく理解するためには、消費者への正しい情報提供が不可欠です。製品のパッケージや広告には、使用されている添加物や栄養成分についての明確な情報提供が求められます。また、メディアや教育機関による正確な情報発信も重要です(余り期待はできませんが)。

特に、加工度の高い製品(ウルトラ加工食品・UPF)を頻繁に摂取することは、健康リスクを高める可能性があるため、注意が必要です。

代替肉や培養肉は、環境への配慮や動物愛護の面では大きな利点を持っていますが、人への健康面での懸念は払拭しきれていません。普及はするとの予測に反し、株価は低迷を続けているのはクリアせねばならないハードルが幾つもあるからでしょう。

普段からハムやソーセージなど加工食品を食べない私からすると、将来的にも培養肉に対する期待値は低いです。普通の消費者も、地球や将来のためにそこまでしなきゃ、という危機感は持っていないのが実態でしょう。今のところはヴィーガンやベジタリアンなどの革新層の需要に留まっているのではと思いました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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