環境問題をも問う獣医師・ロマン・ピッツィの挑戦

ロマン・ピッツィと動物 文化・言語

イギリスの獣医師ロマン・ピッツィの「注文の多すぎる患者たちを読みました。最近読んだ本の中でトップクラスのお勧めです。

今回は、ピッツィ氏の活動について紹介させていただきます。

人間だけが特別じゃない。野生動物にも、同じだけの命の重みがある

英国スコットランドを拠点に活動する獣医外科医、ロマン・ピッツィ(Romain Pizzi)は、野生動物の外科手術における先駆者として知られています。​

書籍の中でもクマ、フクロウ、アナグマ、さらにはシベリアトラなど、多種多様な野生動物に対する治療の様子が紹介されています。

私の仕事は、動物一頭一頭との静かな対話である

とにかく感心したのは、彼が診察する患者は体や皮膚の造り、骨格、内臓の配置などが異なることです。

人間の患者の場合は、人種は違っても心臓や腎臓の位置は同じですが、鳥類や哺乳類だとまったく違うんですね。探求心と経験で様々な問題に対処する姿に感動しました。

獣医にスポットライトが当たることは少ないですが、目から鱗でした。我々は、もっと獣医さんに敬意を示すべきだと思います。

「動物の治療は、彼らの命だけでなく、生態系全体を守ることにつながる」とはピッツィ氏は発言しています。

野生動物医療の革新者としての挑戦

ピッツィ氏の活動は、しばしば設備が整っていない環境で行われます。​例えば、ラオスでの月の輪熊への脳手術では、現地のバーから炭酸ガスを調達し、手術に必要な機材を即興で組み立てるなど、創意工夫を凝らして困難を乗り越えています。 ​

彼は野生動物への腹腔鏡手術(キー ホール手術)の導入を先駆けて行い、その技術をクマ、チンパンジー、サメなど多様な動物に適用してきました。 ​

彼の取り組みは、​動物の身体的負担を最小限に抑える手術にも力を入れ、回復を早めることに寄与しているとのことです。

動物を“かわいい”という理由だけで飼ってはいけない・命と向き合う責任

そんなピッツィ氏が、近年強く警鐘を鳴らしているのがペットの過剰問題です。

彼によれば、適切なケアを受けられずに病気や怪我を負った動物たちが、野生動物専門の医療現場に押し寄せているそうです。

中にはエキゾチック・アニマルとして飼われていた野生動物が、放棄されてしまったケースもあります。

更に、ペットの数が増えたことで、大量のペット用の食肉が必要である事実には驚かされました。

特にアメリカでは、牛肉の30%がペット用に消費されていると聞き、ショックを受けました。牛の飼育には大量の水と飼料が必要なため、環境負荷が大きいと言われています。


彼の活動はYouTubeでも見ることができます。

ピッツィ氏の活動は医療行為にとどまらず、野生動物と人間社会の共生を追求する取り組みであると思いました。

人間は自らの利益を優先して自然に侵入し、開発を続けてきました。その副作用として、野生動物の生息地が失われています。

クマが街に出没するニュースが絶えませんが、日本人にとっても身近な問題であると改めて思いました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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