アメリカはトランプ政権に移行し、同氏は就任初日の1月20日にWHO(世界保健機関)からの脱退を指示する大統領令に署名をしました。その背景には同氏のWHOの姿勢への不信感や、年間12億8400万ドル(約2000億円)もの資金提供のコスト削減であると言われています(日本の2023年の資金提供は約260億円)。この動きに直接関係ありませんが、トランプ政権の厚生長官候補のロバート・ケネディ・ジュニアも反ワクチン派の代表格として子供への健康被害を繰り返し訴えており、WHOや製薬産業の対抗勢力として注目を集めています。
ロバート・ケネディ・ジュニアとは?
ロバート・F・ケネディ・ジュニア(RFK Jr.)は、アメリカの名門ケネディ家の一員として生まれ、環境活動家・弁護士・政治家として活躍してきました。近年では、大統領選への出馬やワクチン政策に関する発言で注目を集めています。彼の生い立ちから現在の政治的思想までを見ていきます。
RFK Jr. バックグラウンド

- 1954年1月17日、アメリカ・ワシントンD.C.に生まれる。父はジョン・F・ケネディ大統領の弟であり、1968年の大統領選中に暗殺されたロバート・F・ケネディ上院議員。
- 父の暗殺後、若くして薬物問題に苦しむが、その後克服し、環境問題への取り組みを通じて社会に貢献する道を選ぶ。
- 弁護士として数々の環境保護活動に取り組み、ニューヨーク州の環境団体「リバーキーパー(Riverkeeper)」や「ナチュラル・リソース・ディフェンス・カウンシル(NRDC)」で活動し、水質保全や大企業による環境破壊の問題解決に貢献。
物議を醸す政治的発言と主張
近年、RFK Jr.は環境問題だけでなく、ワクチン政策や政府の規制に対する批判的な発言で注目を集めるようになりました。特に、新型コロナウイルスのパンデミック中にはワクチン義務化に反対する姿勢を強く示し、多くの支持を得る一方で、陰謀論的な見解を持つと批判されることもありました。
1. ワクチンへの懐疑的な姿勢
RFK Jr.は、特に子供向けのワクチンに対して長年懐疑的な立場を取っており、”ワクチンには安全性に関する問題があり、政府と製薬会社が癒着している”と主張しています。
- ワクチンに含まれる保存料チメロサール(水銀化合物)が自閉症や神経疾患の増加と関連していると主張。これは多くの科学者や公衆衛生機関によって否定されているが、彼は「ワクチンの安全性に関する研究が不十分であり、企業側に都合の良いデータが使われている」と批判。
- CDC(米国疾病予防管理センター)やFDA(米国食品医薬品局)が、製薬会社と癒着していると考えており、「公衆衛生政策が企業の利益によって動かされている」と主張。特に新型コロナウイルスのワクチン政策に関しては、政府の強制的な接種プログラムに反対し、「個人の自由を尊重すべきだ」と批判。
2. 環境政策における大企業優遇を批判
RFK Jr.は一方で、政府の環境政策に対しても批判的な立場を取っています。彼の主張の中心は、「環境保護政策は、大企業の利益を優先して歪められている」というものです。
- 工場や大規模農業によって排出される化学物質や農薬が人々の健康に悪影響を与えていると主張。大手化学企業が環境汚染を引き起こしているにもかかわらず、政府はそれを黙認していると考えている。
- ニューヨークのハドソン川の水質浄化活動に長年取り組んできた。大手企業による水質汚染が横行する中で、政府が企業を適切に規制せず、逆に保護していると批判。
- 環境政策はグリーンウォッシング(Greenwashing)であり、表面的には環境保護を謳いながらも、実際には大企業の利益を守っていると主張。再生可能エネルギー政策が一部の巨大企業の利益を優先し、地域住民や中小企業には不利な仕組みと指摘。

3. 食の安全に対する施策への不満
RFK Jr. は、SNAP*や学校給食の資金配分の見直しを求め、より健康的な食事を提供するべきだと主張しています。これらのプログラムが現在、加工食品や砂糖入り飲料を優先する傾向にあることを指摘し、本来の目的である「栄養支援」に適していないことを問題視している。
*SNAP(Supplemental Nutrition Assistance Program‐補充的栄養支援プログラム)は、アメリカの低所得者層に食料購入の支援を提供するプログラム。EBTカードを使って指定された食料品(野菜、果物、肉など)を購入できる(アルコールやタバコは対象外)。
貧困層ほど基礎疾患を抱えているのが現状ですが、悪しき社会システムを批判するのは政治家として正しいことだと思います。You are what you eat(あなたはあなたの食べたものでできている)、健康は日々の食事の積み重ねの結果なのです。

4. 政府に対する積年の恨み
ケネディ家はアメリカ政治において重要な役割を果たしてきましたが、父・ロバート・ケネディの暗殺(1968年)や叔父・ジョン・F・ケネディの暗殺(1963年)など、家族が不審な死を遂げていることも、RFK Jr.の政府への不信感を強める要因だそうです。
RFK Jr.が厚生長官として選任されるかは、今後の彼の言動にかかっているのでしょう。彼は1月末の上院財政委員会では苦し紛れに「私は反ワクチンではない!」と主張し、麻疹ワクチンやポリオワクチンを支持すると発言しました。トランプ氏の影に隠れがちですが、チャレンジャーである彼の言動に今後も注目していきたいと思います。
本ブログは、Robert F. Kennedy Jr.のオフィシャルサイトを参照しました。彼はMAHA(Make America Heathy Again – アメリカを再び健康的な国にする)というスローガンを使用しています。トランプ大統領令のスローガンは、MAGA(Make America Great Again – アメリカを再び偉大な国にする)で、2016年の大統領選挙の時から使用されていますね。
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