6月中旬に行われたロサンゼルス・ドジャースとサンディエゴ・パドレスの4連戦が、異例の展開を見せました。
両軍合わせて8人の選手が死球を受けるという事態に発展し、シリーズ終盤にはベンチクリア・監督退場・乱闘寸前の騒動まで起こりました。
この記事では、緊張が高まった背景と、両軍にとって今後の展望について綴ります。
8つの死球・記録的に多いタティスへの死球
今回のドジャース対パドレス戦で記録された8つの死球は、ただの偶然では片付けられないと多くのファンが感じたことでしょう。この2チームの間には長い因縁がありますが、今回のシリーズで最初の事件が起きたのは初戦でした。
- 6月17日(月)ドジャースのペイジスがディラン・シーズの速球を左肘に受ける
- 6月18日(火)パドレスのタティスがルー・トリビーノのシンカーを背中上部に受ける
その裏、大谷がバスケスの速球を右脚に受ける - 6月19日(水)再びペイジスが先発コレックから死球。大きな混乱はなし
- 6月20日(木)7回表:ブライス・ジョンソンがトリビーノの球を膝に受ける
7回表:2打者後にタティスが高めの速球を受けそうになる
8回表:タティスがリトルの93マイルの速球を右手に受ける
8回裏:大谷がスアレスの100マイル速球を左肩上部に受ける
これで、このシリーズ中に死球を受けた選手は延べ8人、タティスは通算でドジャースから6度目の死球(ESPN)。他の28チームのタティスに対するデッドボールは最多で4回とのことで、この数字が異常であることを物語っています。

取材に対し「ちゃんとしてくれよ」とタティスは語り、「オレは野球をしに来てるんだ」と話したそうです。彼の穏やかな反応は尊敬に値します。
死球が連鎖する理由とは?偶然か、報復か
特に問題視されたのは、シリーズ最終戦での2連続死球です。リトル投手はこの日が新人デビュー戦での投球であり、「意図的ではない」とロバーツ監督(MLB.com)が述べました。
しかし、タティス自身は「その時は意図的とは思わなかった。でも、これまでに何回当てられてると思う?」とコメント(MLB.com)。シルト監督は「意図の有無はもはや関係ない。もう沢山だ」と怒りを隠しませんでした。

さらにその裏、大谷がスアレスに肩を直撃されるという展開に発展。3-0という打者有利のカウントから投じられた速球であり、ロバーツ監督は「右投手が左打者の内角にクロスで投げるのは明らかに不自然」とコメントしています(Yahoo!sports)。
スアレスは即時退場となり、パドレスはリリーフ投手が足りなくなり、松井裕樹がメジャー初セーブをかけて登板しました。試合後、スアレスは「ノーコメント」を貫いています。
大谷の“神対応”が救った現場の空気
この一連の死球劇で最も注目を集めたのは、大谷翔平の振る舞いでした。肩に死球を受けた直後、大谷は一塁に向かいながらベンチから飛び出そうとするチームメイトに「やめろ」と手を挙げて制止し、冷静さを保つよう促しました。
さらに大谷はその後、パドレス側ベンチに笑顔で歩み寄り、和解を促すような行動にでました。「大谷のジェスチャーがなければ乱闘に発展していた」とする報道も多数あります(MLB.com)。
普通、あのタイミングで敵のベンチに接近するのはタブーで、彼でなければ本当に乱闘になっていたと思います。

YouTubeのDodgers Nationのコメント欄には、「Shoheiはノーベル平和賞ものだね🕊️」との書き込みがありました😄。
以前からそうでしたが、大谷翔平には「品格」という言葉がぴったりだと改めて思いました。
シリーズを通して高まる緊張感
両チームは2022年のプレーオフ、そして2023年の地区シリーズでも接戦を繰り広げてきましたが、今シーズン初対戦となった6月の連戦では、わずか11日間で7度の顔合わせがありました。
試合内容もさることながら、「サイン盗み疑惑」「警告の運用」「控え選手への投球」など、火種が積み重なり、6月20日の最終戦で一気にマグマが爆発した構図です。
結果的にこの日の試合後までに、両監督、ベンチコーチのブライアン・エスポジト、大谷に死球を与えたロバート・スアレスの計4人が退場処分を受けました。
マチャドはインタビューで、「タティスが深刻な怪我でないことを祈れ」とドジャースを挑発しています。
次の直接対決は8月──沈静化か、再燃か
ドジャースとパドレスの次回対戦は8月15日から17日、ドジャー・スタジアムで予定されています。両チームともプレーオフ進出を争うナショナルリーグ西地区のライバルであり、このまま終息とはいかない可能性も高いです。
現在、ドジャースは2位のジャイアンツに3.5ゲーム差をつけて首位。パドレスは首位から5ゲーム差の位置にあり、直接対決の意味はますます大きくなっています。

ロバーツ監督は「次の対戦までに、できる限り多くの試合で勝ちを重ねるのみ」と語り(Dodgersbeat.com)、シルト監督は「2カ月後、我々は準備できている」とコメント(EssentiallySports)しました。
騒動の中で一層高まる大谷翔平への人的評価
タティスの右手はCTスキャンの結果、骨折なしと判明しました。本当に良かったです。スアレスへのMLBの裁定の内容により、両軍のスタンスに変化があるかもしれませんが、本来のプレイに専念できる状態に早く戻れると良いです。
Dodgers Nationのコメントを読んでいて、翔平のことを”Class act”と表現する人が何人もいました。これは「一流とか素晴らしい人」という意味だそうです。
また、メッツやヤンキースなど、何人もの他チームファンという方々が、翔平の素晴らしさを称えるコメントをしていたのが印象的でした😊。ノーベル平和賞が授与される日が現実となるかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。