2025年のMLBシーズン、ドジャースの日本人投手として注目を浴びているのは山本由伸と佐々木朗希の二人です。
山本はメジャーリーグに登場してからその卓越した投球を披露し、サイ・ヤング候補として注目されています。
一方で、佐々木はメジャーでの適応に苦しんでおり、現在のところその実力を最大限に発揮できておらず、関係者やファンから心配の声が聞かれます。
そんな二人の投手の今シーズンの挑戦と成長について、ドジャースの公式YouTubeチャンネル、Dodgers Nationが取り上げました。

番組にはドジャースOBで解説者のホセ・モタ(Jose Mota)がコメンテーターとして登場しました。彼のコメントを交えながら山本と佐々木の現状振り返り、今後の展望について考察しています。
ホセ・モタ(José Manuel Mota Matos)氏について:
1965年、ドミニカ共和国出身。1985年、ドラフトでシカゴ・ホワイトソックス入団、1991年にサンディエゴ・パドレスでメジャーデビュー。引退後はMLBの解説者として活躍。2022年からはロサンゼルス・ドジャースのスペクトラム・スポーツネットLAを担当、日本人選手に対する知識が深いことで知られている。
山本由伸の安定した活躍
山本由伸は、今シーズンもその実力をメジャーリーグで証明し続けています。特に注目すべきは、その抜群のコントロール力とマウンドでの冷静さです。
モタ氏は、山本の成長を次のように評価しています。
「山本は今や自信に満ち溢れている。特に昨年のポストシーズンで見せた投球は、彼の精神面でも大きな成長を促した。彼の最大の強みは、コントロールの正確さだ。ストライクゾーンを巧みに操り、打者を自分のペースに引き込む。これはメジャーの打者にとって、非常に厄介な存在だ」

特に、山本は「レッグキックを大きく使わず、上半身を巧みに使って投げるスタイルが特徴的で、コントロールが素晴らしい」と評価しています。
モタ氏は、山本が体重トレーニングを行わず、ジャベリンやウエイトボールを使って内面の強さを養っている点も強調しています。
彼は山本との会話を披露し、「速球が正確で、まるでダーツの矢のようにピンポイントで投げられるね」と冗談交じりに話したところ、本人はその指摘に笑いながら同意していたとのことです。

山本はMLBにおいて最も安定した投手の一人として評価されています。特に、速球と変化球を使い分ける投球術は、メジャーリーグの打者にも十分通用しており、今シーズンもERA(防御率)を2.00台に保っています。
山本のような投手が、メジャーリーグの厳しい環境でも安定して結果を残し続けるのは、その技術とメンタルの強さにあると言えるでしょう。
佐々木朗希の課題:コマンドを取ること
一方で、佐々木朗希はメジャーリーガーとしての適応に苦しんでいます。彼の持ち味である高速スライダーやスプリットは、メジャーの打者にとっても非常に脅威ですが、今シーズンはそれが十分に発揮されていないのが現実です。
モタ氏は、佐々木が速球で打者を抑える際の「コントロール」を重要視すべきだと話しています。特に「コントロールは、ボールをどこに投げるかを意識して投げることが大事であり、深いカウントに持ち込むと試合を早い段階で終わらせてしまう」とコメントしています。

また、佐々木が「速球を使って打者を圧倒することが重要だ」とも述べています。彼は、日本での完全試合や多くの三振を取る能力を持っていますが、メジャーで成功するためにはその能力を冷静に発揮することが求められると指摘しました。
そのためにはコマンド(統率力)、速球のコマンドをしっかりと取ることが重要とのことです。コマンドはコントロールとは違い、もしミスをして高めに投げるなら、そのミスをどこに投げて、打者に振らせたいかを知ることがコマンドだそうです。
Congratulations Roki on your first Major League win! pic.twitter.com/dPenpDcopU
— Los Angeles Dodgers (@Dodgers) May 4, 2025
「山本のような選手を見て、周りに彼をサポートしてくれる人たちがいることを理解しながら、彼はそれを少しずつ学んでいくはずだ」とモタ氏は語ります。
佐々木朗希の挑戦:マイナー降格も?
現在、佐々木にはマイナー降格の可能性が取り沙汰されています。メジャーリーグの厳しい競争の中で、成績が安定しない投手はすぐにマイナーへ送られることが一般的です。
この現状についてモタ氏は次のようにコメントしています。
「マイナー降格は決して珍しいことではない。佐々木にはまだ多くの課題が残されているが、彼の強みであるスピードと変化球を生かせるようになれば、必ず再度メジャーに戻れる」

佐々木はメジャーリーグでのデビューから注目の若手として期待されており、その才能に疑いの余地はありません。しかし、メジャーリーグという舞台は想像以上に厳しく、結果を出し続けることは簡単ではないのでしょう。
そして、「現在はまだポテンシャルをフルに活かしきれていないが、今後はその能力を十分に発揮できると確信している」と話しました。
まとめ
山本はその安定感で既にトップクラスの投手となり、メジャーリーガーとしての地位を確立しています。モタ氏も「彼はどのリーグ、どのレベルに行っても投げられる。なぜなら彼のコントロールは本当に良いから」と手放しで絶賛しています。
一方、佐々木の成長には時間がかかるかもしれません。焦る日本のメディアは、佐々木を藤波晋太郎(シアトル・マリナーズ傘下所属)と比較して伝えることが多くなりました。

メディアいわく、二人の似ている点は「生まれつきアンテナが敏感」であるのと「頑なな性格」ということです。
そんな彼に対して、一部のメディアは「NPB(ロッテ)の去り際に問題があった」とし、現在の不調と結びつけるかの記事を書いています。
モタ氏はそんな佐々木についてこう擁護しています。「彼はまだ23歳だ。まだ足を踏み入れたばかりだ」と。
最後までお読みいただきありがとうございました。