トランプ2期目のNYは本当に変わったのか?タイムズスクエアで感じた違和感

NY警察官たち 政治・ビジネス

先週、出張でニューヨークを訪れ、タイムズスクエアのど真ん中のホテルに滞在しました。世界有数の観光地であり、人口や文化の流動性を観察するには象徴的な場所です。かなり前からニューヨークは汚い街でしたが、今回の滞在では明らかに街の雰囲気が変わっていることに気づきました。

まず印象的だったのは、人種や言語の多様さがより顕著になっていたことです。アジア系、ヒスパニック系、アフリカ系の人々が目立ち、街中では英語以外の言語──スペイン語、中国語、ロシア語、アラビア語と思われる会話──が自然に飛び交っていました。

もちろん、週末の観光シーズンとも関係しているでしょうが、以前と比較して「ここは本当にアメリカか?」と錯覚するような印象を受けたのは事実です。

そう言えば、帰路の某日系航空会社のチェックインカウンターでは、5~6人の職員全てが南米系で互いにスペイン語で会話をしていたのも印象的でした。

データが示すニューヨークの多様性と旅行者の復活

このような印象は統計的にも裏付けられます。アメリカ合衆国国勢調査局(U.S. Census Bureau)の2023年推計によれば、ニューヨーク市の人口約840万人のうち、約38.0%が外国生まれです(出典:American Community Survey, 2023)。これは米国都市の中でも最も高い水準にあります。

さらに近年では、アフガニスタン、ベネズエラ、ロシア、コンゴなどの国々からの新規移民も増加しており、地域によっては英語よりも他言語が優勢なエリアも存在します。

また、パンデミック後に落ち込んでいた観光客数も急速に回復しています。ニューヨーク市観光局(NYC & Company)によれば、2023年の海外旅行者数は1200万人に達し、コロナ前の水準(1330万人)に近づきつつあります(出典:NYC & Company, 2024 Tourism Forecast)。

このように、観光客と移民の双方が街の景観に大きな影響を与えていることは明らかです。

路上に漂う変化──大麻と空気感

もうひとつ気になったのが、大麻やVapeを扱う店舗の増加と、実際にそれらを街中で使用する人々の存在です。ニューヨーク州は2021年に娯楽用大麻を合法化し、2023年以降、正式な小売店舗(Cannabis Dispensary)が開店し始めました(出典:New York State Office of Cannabis Management)。

カナビス店と路上で吸う観光客

公共の場での使用は禁止されているものの、観光地では路上での使用も散見されます。合法化の背景には、税収増加と違法市場の縮小という政策的意図がある一方で、「都市の空気感の変化」として市民の間で賛否が分かれています。

ホテル付近にも幾つかの店があり、至るところで路上喫煙する人々を見かけました。部屋は22階でしたが、路上には常に警察車両が停まり、警告サイレンの音が一晩中聞こえていました。何を対象にしていたのかは不明ですが。

トランプ2期目でNYはどう変わったのか?

アメリカはトランプ政権2期目に入り、最大の争点のひとつが移民政策です。国境管理の強化や不法滞在者の送還拡大が掲げられ、実際に執行面では一定の増加が確認されています。

米国移民税関捜査局(ICE)の統計を分析するTRAC Reportsによれば、2025会計年度以降の送還(removals)件数は約29万人規模と推計され、前年度比で増加傾向にあります(出典:TRAC Reports, ICE Data 2025–2026)。

拘束者数も増加しており、移民執行が強化されていることは数字からも読み取れます。ただし、政権が掲げる年間100万人規模の送還目標には達しておらず、実績は段階的な増加という水準にとどまっています。

2026年1月1日にニューヨーク市長はとして、Zohran Mamdani氏が就任しました。ニューヨーク市史上 初のムスリム系市長、初の南アジア系市長という歴史的な出来事です。

彼の就任により、ニューヨーク州およびニューヨーク市は民主党主導の政治体制が続いており、「サンクチュアリ・シティ(移民保護都市)」としての政策枠組みを維持しています。州・市レベルでは移民支援や住宅提供などの措置も継続されており、連邦政府の方針と都市行政の運営には一定の距離があるそうです。

連邦レベルで送還数が増加していても、マンハッタン中心部の風景が急激に変わるわけではありません。

メディアの論調とSNS上の評価のギャップ

CNNなどのニュース番組では、相変わらずトランプ大統領や私の好きなロバートケネディJr長官に対し、批判的な報道を続けていました。彼の言動や過去の起訴、政策や方針の誤りを指摘するオンパレードです。

特にニューヨークはメディア産業の中心地であり、リベラル色の強い論調が多くを占めています。一方で、X(旧Twitter)などのSNS上では、トランプ氏の支持派による積極的な発信も活発です。

米国の世論調査機関Pew Research Centerの報告では、支持政党によって情報源が著しく異なることが確認されています(出典:Pew Research, 2023 Political Media Landscape)。

テレビに代表されるオールドメディアとSNSにより、社会は分断されているのです。もしSNSやYouTubeが発明されていなかったら、と考えるとつくづく恐ろしい世の中だと思いました。

帰路、身近なところで感じたモヤモヤ

帰国便の隣の席の女性から、日本での乗継ぎ便について質問をされ、少し話をしました。彼女はカザフスタン出身で、1年前に家族で名古屋に移住したとのこと。今回の渡米は結婚してニューヨークに住む娘さんと孫に会うためでした。

実は、搭乗して直ぐに彼女の不自然な点に気づいていました。CAとの会話では英語での意思疎通ができないのに、機内チャネルの言語を日本語に設定していたからです。

実際に話をすると、同国ではカザフ語とロシア語を使うとのことで、機内チャネルにロシア語がなく困っていたそうです。日本語はゆっくり少し話せる程度です。本人は日本人の友達もいて、日本語は難しくないと言っていました。でも自ら日本語で10まで数えてくれたのですが、スピードはゆっくりで「4」と「7」が思い出せませんでした

年齢は恐らく60代と思いますが、この年齢で現地語も英語も話せずに異国に移住するのは大変苦労が多いことでしょう。旦那さんは日本語を学ぼうともしないそうです。

カザフスタンは中央アジアの中では経済的に最も安定した国の一つで、大規模な内戦や飢餓もありません。生命に危機のある難民を排出している国でもありません。

彼女がどのような経緯で日本を選んだのかわかりませんが、言葉の理解できない高齢者が大量に増えた場合の社会的なインパクトを想像し、不安を覚えました。

彼女は最後に日本語で「ありがとう」と言い、私は「お気を付けて」と言って別れました。日本の文化や言語に敬意がある人だと感じました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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