カジノ大国マカオの現金分配制度について

マカオの夜景と橋 政治・ビジネス

以前マカオに旅行に行ったときに、同国が年に1度カジノ事業の収益を国民に分配しているのを知りました。カジノが一大産業であり、国民の約3割が直接雇用されているので当然と言えば当然なのですが、そのユニークなシステム「現金分享計劃」について探ってみたいと思います。

1. カジノの収益を国民に毎年分配!

マカオ政府は2008年から、カジノ収益の一部を住民に分配する 「現金分配制度(Wealth Partaking Scheme, WPS)」 を実施しています。社会福祉や生活費の補助としての活用を目的とし、毎年5月~7月に分配されます。

  • 支給対象者
    • マカオの永久居民(永住者) はより多くの支給を受ける。
    • 非永久居民(非永住者) も支給対象だが、受け取る金額は少ない。
  • 支給額(2023年実績)
    • 永久居民(永住者): 10,000マカオパタカ(約19万円)
    • 非永久居民(非永住者): 6,000マカオパタカ(約11万円)

2. カジノ産業が生み出す雇用と経済

マカオは「アジアのラスベガス」とも呼ばれ、経済はカジノ業界に大きく依存しています。

  • カジノ収益の経済貢献
    • 政府歳入の70%以上 がカジノ税から得られている。
    • マカオは世界で最も高いカジノ税率(約39%) を課している。
  • カジノ業界による雇用
    • 労働人口の約25~30% がカジノに直接雇用されている(ディーラー、マネージャー、接客スタッフ、警備員など)。
    • 間接的な雇用(ホテル、レストラン、交通、商業など)を含めると、マカオの大多数の雇用がカジノ関連 に依存している。

3. カジノ依存のリスクと課題

カジノ収益の分配は国民にとって恩恵であり満足度も高いそうですが、以下のような問題点も指摘されています。特にカジノ収益の大多数が中国人、という構図に支えられているのもリスク要因のようです。

  1. 経済の安定・持続可能性 – カジノ収益は観光客の増減や、中国本土の規制強化によって大きく影響を受ける。
  2. 経済の多様化の遅れ – 金融やテクノロジー産業など、新規事業分野への発展が進まない。
  3. 社会問題 – ギャンブル依存症や、新しい分野・スキルの学習意欲低下、狭い職業選択肢、労働意欲の低下など。

マカオは街中にカジノがありますが、私は見学のみでした😊。滞在したホテルミニエッフェル塔をアイコンにしていてビックリするほど素敵な造りで、朝食のビュッフェが最高でした。以前ポルトガル領であり1999年に中国に返還されたという歴史もあり、至る所で西欧の文化に触れることができるのもマカオの魅力です。

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