アメリカのコーラが“砂糖”に回帰?トランプ発言とMAHA政策の真意とは

コカ・コーラを持つトランプ大統領 政治・ビジネス

2025年7月、ホワイトハウスのある発表が世界のメディアを賑わせました。

「コカ・コーラ社は、アメリカ国内で販売するCokeに“サトウキビ由来の砂糖”を使うことに合意した」

トランプ前大統領のSNS(Truth Social)での投稿をきっかけに、再び「砂糖」が全米の注目ワードとなりました。

単なる飲料の原料変更なのですが、今後他の飲料・食品業界への影響力は相当なものだと思います。アメリカ社会が長年戦ってきた、糖尿病や生活習慣病の減少に繋がるかもしれません。

どのような動きがあったのか、探ってみたいと思います。

「より良いものを」──トランプ氏のメッセージ

トランプ氏は今回の発言の中で、「これはMAHA政策(Make America Healthy Again)の一環であり、アメリカ国民の健康を守るための素晴らしい一歩だ」と強調しました。

また「本当の砂糖の方が“ずっと美味しいし、体にもいい」とし、アメリカで長らく使われてきた高果糖コーンシロップ(HFCS)からの転換を歓迎する姿勢を見せました。

一方、アメリカコーン製糖者協会(Corn Refiners Association)のボードCEOはFOX Newsのインタビューで、「砂糖は輸入せねばならず、トランプ氏のアメリカ製品回帰政策に反する」と疑問を投げかけました。

調べてみると、アメリカはサトウキビの消費の半分をフロリダ州、ルイジアナ州、テキサス州などで栽培、残り半分は輸入に頼っているそうです。

これは単なる食品会社の原料変更ではなく、これまで放置されてきた国民の健康管理に対する政治の介入でもあります。

コカ・コーラ社の反応は「慎重かつ前向き」

この発表を受けて、コカ・コーラ社もすぐに声明を出しました。

「トランプ氏の熱意に感謝する。詳細は近日中に発表予定」とのこと。完全な合意や即時実施を明言したわけではありませんが、前向きに検討している様子は伝わってきます。

つまり、今回の発言は「砂糖の使用をめぐる企業と政治の対話が、いよいよ現実的になってきた」ことを示しているのです。

企業としても慎重な判断が求められるなかで、健康志向の高まりにどう応えるかという新たなステージに立たされていると言えるでしょう。

因みに日本のコカ・コーラは、糖類として果糖ぶどう糖液糖と砂糖をミックスしています。

MAHA政策とは?「アメリカをもう一度健康に」

トランプ氏が注目するこの動きは、保健福祉省(HHS)の長官を務めるロバート・F・ケネディJr.氏が進めているMAHA(アメリカを再び健康に)政策とも密接に関係しています。

その実現に向け、ケネディ長官は特に加工食品に含まれる人工甘味料や合成着色料の排除を重視しています。これらの成分は、子どもの肥満や生活習慣病に直結していると指摘されており、まずは食の環境を改善することで「病気になる前に防ぐ」ことを目指しています。

ウェルチ社は2026年までに、同社製品への合成着色料の使用を止めると発表しました。サトウキビへの切り替えは、その流れの中にある自然な一歩です。

より自然に近い甘味料を使い、子どもにも安心して飲める飲料を増やすこと。それこそが、MAHAが掲げる「健康を育てる社会」への転換戦略なのです。

科学的には?それでも「自然に戻る」ことの意味

もちろん、すべての専門家がこの動きを称賛しているわけではありません。

多くの栄養学者は、「高果糖コーンシロップ(HFCS)とサトウキビ糖に、明確な健康効果の差はほとんどない」と指摘しています。つまり、「砂糖の種類が変わるだけでは、健康そのものに大きな差は出ない」というわけです。

一方、ケネディ長官の主張は、「なぜアメリカ人は昔に比べ不健康になり、医療費も世界一高額なのか?」というものです。確かに、肥満率や肥満度がここまで高まったのは、添加物や化学製品の影響と疑うのは自然だと思います。

食品メーカーは利益を出すことを優先し、消費者の健康を二の次にしてきたのは確かです。食品の規制・認可を担うFDAと企業との癒着も指摘されています。

消費者が適切な判断ができるよう、メーカーがそれに協力し選択肢を増やすというのは素晴らしい変化だと思います。

健康は国の原動力、官民一体の目標

MAHA政策は、企業に対する強制ではありません。“一緒に考えよう”という呼びかけなのです。

コカ・コーラの例は、企業が社会の声に耳を傾けることの可能性を示しています。先ず風穴を開けたということで、MAHAの成果は絶大だと思いました。不安がなく、健康的になる選択肢が増えることは、国家の成長にとってもプラスです。

アメリカはヘルスケア産業大国で、数多くの製薬・バイオテック企業が最先端の開発競争をしています。その裏側には、国民一人当たりの医療費が世界最大という事実もあります。

アメリカが「病気を治す医療」ではなく、「病気にならない社会」へとシフトするためには、数々のバリアを乗り越えなければなりません。

MAHAは形になりはじめている

MAHAはまだ始まったばかりですが、すでに形になりはじめています。私はこの流れを心から応援したいと思っています。

7月16日のホワイトハウスの発表によると、以下の食品メーカー、量販店、レストランで自然素材の材料に切り替えの合意が成されています。特に子どもの好きなスナックやアイスクリームの合成着色料を不使用にするなど、着々と成果を見せているようです。

日本でも政府主導でこのような議論ができる日が来ることを祈ります。米不足や食料自給率など、食料関係の問題は山ほどあるのに、積極的に議論されることはありません。

政府や官僚は国民の豊かな暮らしのために、誠心誠意仕事をして欲しいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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