エプスタイン事件の鍵を握る女、ギレーヌ・マクスウェル:沈黙と支配のネットワーク

ジェフリー・エプスタインと海岸 エンタメと文化

2025年7月、アメリカ司法省はジェフリー・エプスタインが死亡した当日の未公開映像を11時間分公開しました。FBIはこの映像から「誰もエプスタインの独房に出入りしていない」と結論づけ、「自殺である」とする調査結果を再確認しました。

しかし、その発表は事件の幕引きにはなっていません。むしろ「これで終わりなのか?」という世論の疑念が再燃しています。

保守系ニュース番組「Morning Wire」では、FBIが「顧客リストは存在しない」「著名人への脅迫の証拠もない」とする報告書を紹介しつつも、Netflixの『Filthy Rich/ギレーヌ・マックスウェル: 権力と背徳の影で』の監督リサ・ブライアント氏が次のように疑念を呈しています。

「そもそも監視映像にはエプスタインの独房の扉が映っていない。これでどうやって“自殺”だと断定できるのか」

また、検視に立ち会った著名な法医学者マイケル・バーデン医師は、「首の舌骨が折れていた。これは通常、首吊り自殺ではなく他殺によって見られる所見だ」と証言しています(Fox News, 2020年)。

このように、司法当局の説明に対する納得感は決して高くありません

エプスタイン事件の概要

ジェフリー・エプスタインは米国の富豪・投資家でありながら、長年にわたって未成年少女に対する性的虐待、人身売買、性的搾取を行っていたとされています。彼は自らの人脈と財力を使い、主に貧困層の少女を「マッサージの仕事」などと偽って勧誘し、性的行為を強要していたとされます。

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2008年には一部の罪状で有罪となり、実刑判決を受けながらも特別待遇で刑期の大部分を自宅で過ごしました。その後、2019年に再逮捕され、ニューヨークの拘置所に収容中に死亡します。

この事件は単なるスキャンダルではなく、世界中の著名人・有力者が関与していた可能性があるため、大きな波紋を呼びました。

エプスタイン島の正体とは?

エプスタインが所有していたカリブ海の小島「リトル・セント・ジェームズ島」は、事件の象徴的な舞台です。豪邸や監視カメラが設置されたその島では、少女への性的行為が日常的に行われていたと証言されています。

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多くの被害者は「部屋にカメラがあった」「自分が撮影されていると知らされた」と話しており、エプスタインが映像を使って要人を脅迫していた、いわゆる“コンプロマット(脅迫材料)”の存在が噂されています。

この島はかつて「ペドフィリアの島」と呼ばれ、その後200近い訪問者の端末情報が記録されていることが判明。エプスタインが性犯罪者であることを知りつつも、多くの富豪や著名人がプライベートジェットなどで島を訪れたことが明らかになっています(WIRED)。

ギレーヌ・マクスウェルの役割

この犯罪の中心には、もう一人の重要人物がいました。イギリスの富豪ロバート・マクスウェルの娘、ギレーヌ・マクスウェルです。彼女はエプスタインの恋人、あるいはビジネスパートナーとされ、少女たちを「スカウト」し「信用させる」役割を担っていました。

ギレーヌは2021年の連邦裁判で有罪判決を受け、2022年には禁錮20年の刑が言い渡されました。有罪となった罪状には未成年者の性的搾取、人身売買の共謀などが含まれています。

被害者の多くは「ギレーヌが女性であったため、最初は安心してしまった」「彼女が最も怖かった」と証言しており、彼女の存在が事件をより巧妙かつ悪質なものにしていたと言われます。

走査線に浮かび上がった著名人たち

事件で名が挙がった著名人の中には、ビル・クリントン元大統領、英国のアンドリュー王子、そしてマイクロソフト創業者ビル・ゲイツなどがいます。

ビル・ゲイツは2011年から2013年にかけてエプスタインと少なくとも5回会ったとされ、「慈善活動についての助言を求めた」と釈明しました。しかし今年、「(ゲイツから)人体実験のように注射を打たれた」という被害者の証言もでています。

ビルゲイツとビルクリントン・プライベートジェット

一方、元妻メリンダ・ゲイツ氏は2022年にCBSのインタビューで「エプスタインは“邪悪な存在”でした。夫が彼と会っていたことは、私にとって非常に不快なこと」と語っています。

メリンダ自身もエプスタインと1回だけ面会しており、「会った後、悪夢を見た」と話をしています。彼女は、夫婦の離婚原因の一つがエプスタインとの関係だったとコメントしています。

ヒラリー・クリントンやその他のパートナーはほとんどコメントを出しておらず、沈黙を貫いています。また、トランプ氏もエプスタインとの関係があったとされていますが、事件とのかかわりはないとされています。

事件はまだ終わっていない

この事件が未だに社会の関心を集め続ける理由は、エプスタインの死因が不自然であること、「支配と沈黙のシステム」が背後にあると疑われるからです。

被害者たちは未成年で社会的に弱く、加害者は世界を動かす立場にある有力者ばかり。そのような構造の中で、事件の真相は意図的に覆い隠され、責任は分散されてきました。

FBIが「顧客リストは存在しない」「脅迫の証拠はない」とする報告を発表しても、多くの人々が納得しないのは、「沈黙の利益構造」が今なお存在していると感じているからです。

ギレーヌ・マクスウェルは今も服役中であり、「すべてを知る人物」として将来何らかの司法取引を持ちかけられる可能性があります。

彼女が口を開くことがあれば、エプスタイン事件は新たな展開を迎えるでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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